気持ち悪い、とか言うなよ・・

今、僕の手元には一冊だけ漫画があります。

 

新世紀エヴァンゲリオンの単行本14巻。

 

これは先月マイアミに遊びに来た際にみやむーさんが

お土産として持ってきてくれたものです。

というか僕が来る人みんなにお土産として、なんでもいいから

本を持ってきてくれとお願いしたもののなかの一冊です。

 

この漫画が発売されたのは2014年の11月なんで、

僕がマイアミに来てから発売されたことになります。

 

そして新世紀エヴァンゲリオンの漫画、通称貞本エヴァは

この14巻を以って完結となります。

 

第一巻が発売されたのはアニメ版(庵野エヴァ)が公開された

1995年頃なので、連載約20年で完結を迎えたということです。

 

 

ちなみに僕がエヴァと出会ったのは貞本エヴァが最初です。

当時中学1年生でした。シンジくんたちと同い年。

 

そりゃやばいくらいハマった。のめりこんだ。

 毎晩ネットでエヴァ関連のサイトを漁った。

カバラとかリビドーとか怪しげな単語ばかり履歴に残ってた。親が見たら卒倒しただろうなぁ・・。

 

というわけで思い入れたっぷりの貞本エヴァなわけですが、

せっかくブログなんてやってんだから、好きなだけ語ろうかなって。

14巻だけじゃなくて、貞本エヴァそもそも論なんてぶっちゃおうかなって。

 

なんで、ここからはネタバレのオンパレードマーチです。たぶん。

見たくない方興味の無い方は速やかに退避して下さい。

 

 

 

 

 

はい、それではいきまーす。

 

まず、貞本エヴァなんですが・・

 

ぶっちゃけ漫画としてはあんま上手くないと思ってます。

これは決して面白く無い、というわけじゃありません。

 

ただいわゆるジャンプに代表されるような王道路線や

その他第一線で人気を張っている作品に比べると、漫画としての演出がぎこちないように思えます。

 

戦闘シーンの描写なんかは凄く迫力があるんですけど、

日常シーンになると途端にぎこちなさが出てきます。

 

おそらく実際のシーンの流れに対して、コマ数が少ないんだと思います。

それゆえシーンが飛ぶというか、一コマの情報量が多くなるというか

流れが少し淀んで見えてしまってるんだと思います。

 

また絵がべらぼうに上手いんで、その分余計に一枚の絵に引き込まれて

流れが途切れるような印象になるんだと思います。

 

なんていうか、この違和感みたいなのが貞本エヴァ最大の特徴つーか、

魅力つーか。

エヴァの違和感だらけの展開にマッチしてるというか。

 

 

あとね、庵野エヴァとの最大の違いは碇シンジくんです。

 

庵野エヴァだと、シンジくんは一見弱っちくて他人に関わりたくなくてダメダメで、

でも実は根はいい子で人によく思われたいという素直な駄々っ子というイメージです。

 

ところが貞本エヴァだとちょっと違います。表と裏が違います。

 

貞本エヴァのシンジくんは、実はそんなにいいやつじゃありません。

どっちかというと外面はいいやつっぽくて、ソツなくこなすような感じですが、

内面ではジメジメしてて尖ってます。

 

端的にいうと、貞本エヴァでは最初にエヴァに乗るとき、あの台詞を言いません。

 

「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ!」

 

 

どっちかっていうと、

「乗りゃいいんだろ!?」くらいの感じで乗ります。

 

 

などと話しつつも、主人公の性格が多少違かろうが

物語の筋は同じなのでおんなじような展開を進みます。

 

そして迎えた最終巻。

庵野エヴァの旧劇をなぞるような形で物語は進み、

初号機を依り代として人類補完計画が発動。

 

旧劇ではこの後、頭がおかしくなるようななんやかんやがあって、

アスカに首絞め→気持ち悪いの絶望コンボで終劇。

 

でしたが貞本エヴァは違う。

ちゃんと広げた風呂敷を畳む。

 

まずゲンドウとユイの物語を一応完結させる。

これがないとシンジくんの再生がいまいちピンとこないし。

 

ほんで、LCLの海の中。

ここでシンジくんが庵野エヴァよりもシンプルに能動的に

他者のいる世界を望みます。

そしてここできちんと綾波との物語も完結。

 

一つ一つ丁寧に、物語の完結を目指します。

ここらへん、もしかしたら賛否あるかもしれませんね。

 

というのも、一つ一つの話をきちんと畳んで整理すると綺麗になりますが、

それ故TVシリーズ終盤や旧劇にあった迸る激情や抑えきれない熱情みたいなのは

失われますからね。

あるいはこれだけの風呂敷を広げたのだから、もう少しダイナミックで

ドラマティックなラストにすることもできたかもしれません。

 

でも、きちんと物語の風呂敷を広げて、それを畳むというのは大変なことです。

それは誰にでもできることではないし、いつでもできることではありません。

 

そうした意味でも、貞本エヴァはぼくたちに

エヴァのひとつの終わりをきちんと提示してくれました。

20年経ってようやく。

 

 

そして貞本エヴァオリジナルの最終話。

 

冒頭から雪。雪に次ぐ雪。豪雪。

そう、ここはセカンドインパクト後の世界ではない。

あの夏しか季節のない世界ではない。

・・もしかしたら今度は冬しか無い、って可能性はあるけど。。

 

ちなみに14巻の表紙も思いっきり雪なんすよね。

 

んで、なんやかんやでシンジくんの生まれ変わりとアスカの生まれ変わりが

再会して、急転直下ジ・エンド。

 

旧劇でも最後まで出番があったアスカで、間違いなくヒロインポジションなんですけど、旧劇だとシンジくんの鏡というか代弁者的な役割を担いすぎていて。

 

でも貞本エヴァだとちがーう。

まずアスカも人類補完計画でLCLの海にどっぷり溶けます。しかも加持さんと。

ヒロイン失格ー。

 

でもだからこそ、最終話でああいう普通の王道ヒロイン的な

出会いのシチュエーションを用意することができたと。

今後こそ君だけは助けるよ、と。

 

 というわけで、貞本エヴァはきちんと未来志向で

エンディングを迎えましたー拍手。

 

庵野エヴァがまともなエンディングを迎えるのか、

ほんとうに楽しみですね。

 

あと、エピローグの「夏色のエデン」も貞本エヴァならではですよね。

ユイのキャラクターとしっかり向きあえた貞本エヴァだからこそ、

あのエピローグが書けるんですもん。

だいたい旧劇だとゲンドウは「悪かった」って謝りながら初号機に喰われるとか

最低ですからね。

 

 

さて、ここまで一気に書いたけど、

すっきりしたようなしないような。

 

またいつかこれを叩き台にしてきちんとまとめたいなぁ。

風呂敷畳みたいなぁ。

 

 

 あとさ、「貞本」って「資本」と空目してしまいがちですね。

「資本エヴァ」。